諫早ヤンキースが所属する日本ポニーベースボール協会(通称:ポニーリーグ)は独自の取り組みを行っていますので、特徴的な取り組みをご紹介します。
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- ポニーリーグとは
- ポニーリーグの特徴① 「2年毎の育成プログラムを採用」
- ポニーリーグの特徴② 「リエントリー制度」・「複数チーム登録制度」
- ポニーリーグの特徴③ 「リーグ戦方式の採用」
- ポニーリーグの特徴④ 「投球制限とメディカルチェック」
- ポニーリーグの特徴⑤ 「U-14、U-15選抜」
- ポニーリーグの特徴⑥ 「保護者負担の軽減」
- ポニーリーグの特徴⑦ 「一球速報システム」の導入
1.ポニーリーグとは
ポニーリーグは、アメリカで生まれた野球リーグです。中学生の若々しく元気な姿を連想して英語で子馬を意味するポニーと名付けられ、また「Protect Our Nation’s Youth-国の青少年を守ろう-」のそれぞれの頭文字を合わせた言葉でもあります。
日本では1975年に日本ポニー・リーグ野球協会(現:日本ポニーベースボール協会)が結成され、ポニーリーグ(中学生)、ブロンコリーグ(小学高学年)ともに世界のチームと試合を行っています。
現在、4代目理事長は元プロ野球選手の廣澤克己氏が就任しています。
2.ポニーリーグの特徴① 「2年毎の育成プログラムを採用」
ほとんどのリーグが中学生を単一大会で運営しているため、3年間を単一大会とすると、最年少の選手と最年長の選手では体力的な格差が大きく、最年少の選手は練習に何とかついていくために無理をしてしまいます。その結果、肘・肩等を壊してしまうことが多々あります。
また試合用のユニフォームを与えられても控えとしてずっとベンチに座っているか、最悪の場合白いユニフォームの練習生扱いとなってしまいます。
ポニーベースボールでは、このような事態を避けるため年齢に適合したカテゴリー分けを採用しています。基本的にはアメリカで開発されたプログラムなので4月入学の日本の学校制度には若干一致しませんので、国内大会のみ下記の表のように分けています。国内のポニーリーグでは、中学1年生から3年生までがプレー可能ですが、2年制度の理念を失わないよう、各リーグで選手構成を配慮しながらチーム作りを行っています。1年生のみの大会もあります。
3.ポニーリーグの特徴② 「リエントリー制度」・「複数チーム登録制度」
「リエントリー制度」とはスタメン9名に限って、一度選手交代でダッグアウトに戻っても、再度試合に出られるというルールです。この場合、打順は元のままですが、守備は変わってもかまいません。これにより多くの選手が試合への出場機会に恵まれます。 但し、投手だけは再度投手としては守備につけません。
この制度がなければ、試合の勝敗のことを考えると指導者も容易に選手交代に踏み切れず、控えの選手はプレーの機会を失いやすいという問題が発生します。しかしリエントリー制度を採用することでスタメンを再度戻すことができ、「1人でも多くの子供を試合に出させる」・「試合に出て野球を覚える」ということを可能にしています。
またポニーリーグでは「複数チーム登録制度」を採用しています。日本の多くのリーグは、部員が50人、100人いてもレギュラーはベンチ入りできる数だけです。それでは一度も試合に出れない選手も存在します。
そこで、2チームが構成できる数の部員がそろい次第、2チーム目を作る義務が生じます。ポニーの理念は野球を通じて立派な社会人を育て、自己の規律の確立、我慢、自己犠牲等、社会人になって必要になることは試合に実際出て、プレーしながら学び取るということです。ポニーリーグでは部員数が多いチームは毎年4チームを持ってリーグ運営をしています。そして全ての登録選手が公式試合への参加機会を得ることができています。
4.ポニーリーグの特徴③ 「リーグ戦方式の採用」
一般的なリーグでは一発勝負の試合が多いため、固定されたメンバーのみが試合に出られる傾向にあります。試合に出ないことには成功も失敗もできません。
また試合を行う中でうれしい、悔しいといった経験をつみ、野球を覚えていきます。「試合に出て野球を覚える」という理念のもと、一部トーナメント方式の大会もありますが、原則ポニーリーグではリーグ戦方式を採用しています。
5.ポニーリーグの特徴④ 「投球制限とメディカルチェック」
ポニーリーグでは成長期の子供を故障から守るため国内では1試合の最大投球回数を7回までとし、連続する2試合においては合計最大10回までとしています。また1試合の投球回数は85球を上限とし、同日の投手・捕手の兼任は禁止、1日50球以上投球した場合は中1日以上空けること、同一試合の再登板は1回のみなど厳しい投球制限を設定しています。
なおポニーリーグに所属しているチームは定期的に選手の肘・肩のメディカルチェックを実施し、リーグ全体で選手のケガの防止に努めています。
6.ポニーリーグの特徴⑤ 「U-14、U-15選抜」
ポニーリーグでは各年齢に応じて各地域連盟代表、全日本代表を選出しています。一般的な代表選抜は各チームの推薦方式を採用していますが、ポニーリーグでは原則トライアウト方式を採用しています。これにより多くの選手が代表に選ばれるチャンスを得ます。またトライアウトに参加することでより高い意識付けができるとともに、多くの選手と触れ合う貴重な経験を得ることができます。
代表に選ばれればポニーリーグの全国選抜大会に参加できるほか、侍ジャパンU-15への可能性も広がります。
7.ポニーリーグの特徴⑥ 「保護者負担の軽減」
野球離れの主要因として「保護者負担」がキーワードとして取り上げられており、野球は他スポーツとくらべ保護者負担が多いという点は否定できません。またそれらが多くのチームの活動の障壁となっていることから以下の施策を実施しています。
野球少年・野球少女を守るための制度として、経済的な理由により硬式野球をあきらめることがないよう、メインスポンサー 大倉グループによる「ポニーファミリー サプライ用品支援制度」が創設されました。条件を満たした選手に対して株式会社 大倉から野球用具「グローブ・スパイク」が給付されます。申請には一定の条件がありますが、年間通しての人数制限はありません。
またポニーリーグでは一定程度の登録審判員(父兄審判員)の出場要請をお願いしていますが、2021年度から試験的に父兄審判員に対応出来ないチームについては、一定額の費用を支払うことにより代行要請が出来るシステムを導入しています。このことにより試合時の保護者負担を軽減を図ります。また選手向けの審判講習会を開催し、練習試合などでも活用できるよう勧めています。
8.ポニーリーグの特徴⑦ 「一球速報システム」の導入
ポニーリーグでは2021年度より公式戦の試合状況と結果を「一球速報.com」で配信しています。これにより仕事の都合や遠方などで試合の観戦ができない場合でも、スマートフォンやパソコン上で試合状況が確認でき、試合時では1球ごとの速報が閲覧できます。またリーグ戦のチーム成績や個人成績も確認できます。この取り組みは中学生の硬式野球リーグではポニーリーグのみ対応しています。